藤野貴教氏 連載【採用のオモローな未来を創造する!】

第5回「採用活動を漁法にたとえてみた。」

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≪連載第5回!≫株式会社働きごこち研究所代表の藤野貴教氏による【採用のオモローな未来を創造する】連載。“採用の未来を想像する旅”をご案内します。

≪働きごこち研究所代表 ワークスタイルクリエイター 藤野貴教氏連載≫

 

漁法にたとえてみる① ナビ採用=巻き網漁法

私は、2003年から採用活動を支援する仕事をしています。採用マーケッターとして、およそ12年間の採用活動の変化をみてきました。私はよく講演で、採用活動を漁法に例えて話をします。そうすると、年配の方でもすーっと理解いただけます。

ナビをつかって大量のエントリー者を集め、いい子だけを絞り込んでいく。このやり方は、「巻き網漁法」にたとえられます。

d1afb51f6dd9e6a21f0cd83388d26a87_s海にざーっと網を巻き、魚の大小・種類は考えず、とにかく水揚げする。その後、大きくて高く売れる魚は、市場に優先的に出します。

小さい魚や、価値の低い魚はどうするか。本来であれば海に戻したいところですが、乱暴な巻き網は魚の体を傷つけます。そして戻すのはやっぱり面倒でもあります。ですので、だーっとまとめて安く大量に売り飛ばしてしまいます。

こんな巻き網漁法も、採用活動がうまくいった時代がありました。2001年のナビが登場してから約10年の間です。WEB DMを大量に発信し、応募がある時代がありました。それはあたかも撒き餌を大量に海に投げて、魚を集めることに似ています。しかし、今では撒き餌に食いついてきません。同じ漁場でたくさんの漁師が、似たような餌を撒いていれば、魚も飽きてしまいます。それと同じように、どの会社も同じようなWEB DMを発信することで、反応率は急激に低下しました。

漁師の世界では、巻き網漁法が小さい魚も乱獲してしまうため、魚が育たずに漁獲量が減っているという問題が起きていますが、採用の世界でも巻き網漁法の弊害が出ています。それは「人をモノとして見るようになってしまった」という問題です。

大企業、有名企業が大量に巻き網を行い、そこに誰もかれもが「釣られ」、一部の高級魚(上位校など)以外は、残念ながら雑に扱われるようになりました。「黙っていてもたくさん網に入ってくる」ことに慣れてしまった漁師(採用担当)は、魚を「トン数」(それはエントリー者を「数」でとらえるのと同じ)でしかとらえなくなり、いつしか人はモノや数字になってしまいました。採用担当側の意識が、気付かないうちに変わってしまったのです。

 

漁法にたとえてみる② ダイレクトリクルーティング=一本釣り漁法

採用担当は毎年、巻き網で大量に漁獲します。しかし、魚側にとっては「一生に一度」の大勝負です。釣られてしまったら終わりですから、本気です。およげたいやきくんの世界です(古いですね)。

釣られていった先輩たちの成功や失敗、入社後のありかたを見ながら、すこしずつ魚は賢くなりました。やがて、採用市場に変化が起こり始めます。

巻き網をしても、魚がかからなくなりました。

「あれ、今年はなんか魚が少ないな(エントリーが少ないな)」
「しかたない、餌を撒くか(WEB DMを大量に配信するか)」
「おかしい、魚が寄ってこない(DMの反応が少ない)」
「魚が減ったのか?(少子化?)」
「いや、どうやら魚自体は減ってないらしいぞ(ナビの全体登録者自体は、ずっと増加)」
「ほかの漁師はどうなってるんだ?」

f27270de0b8e296cd4939db13a07b050_sそんな声が聞こえ始めたのは、リーマンショック後の一時的な買い手市場が終わり、内定率が回復し始めた2011年頃からです。海に魚はいる、しかし網に入ってこない。それでも、まだかつての漁法にこだわる企業は、ナビの広告やホームページのデザインにお金をかけていました。しかし、やがて気付き始めます。

「これは、どうやら漁法が間違っているみたいだぞ」

そんな頃、生まれ始めたのが、ダイレクトリクルーティングという一本釣り漁法です。待っていても魚(学生)が来ない。ならばこちらから仕掛けていこうという攻めの漁法(採用)です。一本釣りといえば土佐のカツオが思い浮かびます。腕の太い漁師が、次々とカツオをつり上げる様子を想像してください。活きのよい魚を釣り上げるには、採用担当者の「戦闘力」が必要な時代になりました。もちろんどんな餌をつけて釣るかも重要です、漁師の腕が低ければ、いつまでたっても魚は釣れません。

学生はITという武器を手にして、賢く、強くなりました。

もし魚がスマホをもってしまい、魚同士で情報を共有できたら、漁師はお手挙げでしょう。学生たちは、ソーシャルの力を使いこなし、学生間で情報を共有し、簡単には釣られないようになりました。賢くなった魚と、漁師の勝負です。ヘミングウェイの老人と海の世界になってきました。

 

漁法にたとえてみる③ リクルーター採用=アユの友釣り

ちょっとしつこくなってきましたが(笑)、漁法のたとえはもうすこし続きます。漁師の腕っぷしが必要な時代になり、漁師の育成が重要になりました。一本釣りを同時期にたくさん行うには、それだけたくさんの漁師が必要です。企業は、新しい漁師(=リクルーター)を育成するようになりました。そして、リクルーター採用が復活しました。

これはたとえるならばアユの友釣りです。

おとりのアユ(リクルーター)が楽しそうにしているのをみて、アユが寄ってきます。いつしか針にひっかかりますが、これは漁師(採用担当)の腕がまた必要です。実際のアユは、自分の縄張りに入ってきたおとりのアユを攻撃するのですが、アユがいるところ(学生の普段の生活範囲)に、おとりのアユ(リクルーター)がコンタクトしていく、と言う意味では似ています。

 

おとりのアユと言われるとリクルーターにとっては気分が良くないでしょうが、おとりのアユの生命力が低ければ、活きのよいアユは釣れないように、リクルーターが元気で楽しそうでなければ、元気な学生は寄ってきません。やらされ感のリクルーターが多いのは残念なことです。いま、多くの会社がリクルーター育成に力を入れているのは、よい流れだと思います。

実はこのアユの友釣りは、OBOG訪問という、昔からの伝統的な採用の方法です。ソーシャルな時代になった今、ITを活用したアユの友釣りの仕組化が求められています。

 

漁法にたとえてみる④ 育てる採用=養殖

いろいろやってみても、なかなかいい魚が釣れない。ならば、稚魚を自分のところで育ててみよう、という養殖もはじまりました。

いわゆる「育てる採用」です。

0a2de88b0f518b5faf915a56895488b6_sはじめから育っている学生を採用するのではなく、採用してから育てればいいじゃないか、という考え方です。この意識になってくると、学生を「モノ・数字」ではなく「人」としてみようとする姿勢に変わってきます。その「人として見る意識」は実は学生にも伝わります。育てる採用をする意識でいると、不思議なことに「育っている学生」も採用できてしまいます。採用と育成がぶつ切りになっている企業では、この育てる採用という意識が根付きません。

養殖に例えると誤解が生じてしまいそうですが、育成とは甘やかすことではなく、素質を引き出し、可能性を伸ばすことです(では素質を見ぬくにはどうするの?そんな新しい悩みも生まれてきてしまいますね)。漁師には、ただ魚を取るだけでなく、漁場をどう守るか、どう魚に付加価値をつけて売るかというマーケティングの考え方も求められています。いわゆる第6次産業化というものです。

※例えば私の仲間が、雄勝という東北の港で マーケティング漁師を育てています。

http://www.reconstruction.go.jp/content/20130514_casebook_2-5.pdf

 

採用担当者においても、学生をどう採用するかという方法論だけでなく、育成やマーケティングについて深く考えていくことが求められています。さて、採用活動の変化を、かなり強引に漁法に例えてみましたが、おもしろく読んでいただけたでしょうか?自社の採用活動に変化を起こしたい、という若手の方にとってのヒントになれば幸いです。

株式会社働きごこち研究所
代表取締役 ワークスタイルクリエイター  
藤野貴教氏

アクセンチュア、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性・新規事業開発・営業MGRを経験。2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。
2006年、27歳の時に東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町)で子育て中。家は海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)。朝の海が大好き。

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