藤野貴教氏 連載【採用のオモローな未来を創造する!】

第4回「終われハラスメントは、本当にハラスメントなのか?」

  • facebook share
top1

≪連載第4回!≫株式会社働きごこち研究所代表の藤野貴教氏による【採用のオモローな未来を創造する】連載。“採用の未来を想像する旅”をご案内します。

≪働きごこち研究所代表 ワークスタイルクリエイター 藤野貴教氏連載≫

 

終われハラスメント問題とは?

12月7日、経団連の指針が正式に出されました。
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/112.html

広報活動 : 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
選考活動 : 卒業・修了年度の6月1日以降

ということになりました。
いろいろご意見あるかと思いますが(僕もあります笑)、決まったからには、その中で成果を出す現実的なあり方を考えましょう。

「終われハラスメントは、本当にハラスメントなのか?」という今回のテーマは、採用スケジュールの問題と密接に絡んでいます。

 

終われハラスメント問題を一言で言うと

せっかく出会った内定者。他社に行ってほしくないから、「もう就活終えて、うちに入社決めて下さいね」と人事が迫るのだけど、その押しを学生が「私の選択の自由を侵されている」と不快に感じてしまう現象

ということだと思います。

分解してみましょう。

・せっかく出会った内定者
・他社に行ってほしくない
・もう就活終えて、うちに決めて下さいね
・人事が迫る
・学生が「私の選択の自由を侵されている」と不快に感じてしまう

という風に見ることができます。

 

個人の自由を、組織の理屈で押し通そうとするとき、
「問題」が生じる

分解してみるとよくわかりますが、「他社に行ってほしくないから、就活は終えてウチに決めてほしい」と伝えること自体は問題ありません。

3fbe34b1391c0f584db99898de936458_sその理由は、「だって、うちにはいってほしいんだもの」という気持ちにあるからです。
しかし、ここに「だから、もう他の会社を受けることはしてはいけない」という執着が入ってくると、空気が変わってきます。

「え、それは私の自由でしょ?」

「いやいや、それは契約みたいなものだから。大人と大人の約束として、内定を受諾するってのはそういうものだから」

「え、それはちょっとおかしくないですか?だって、内定って雇用契約とは違うわけでしょ?もし入社前に会社が大きな損失を出したら、内定を取り消しにできる権利が会社側にはあるわけでしょ?なのに、こっちにはそういう権利がないって、不公平じゃないですか?」

こんな赤裸々な会話が学生と人事の間で実際に交わされることはないでしょうが、要はこういう意見の対立が起きて、それでも「内定を出す側」が意見を押し通したときに「ハラスメント状態」に入るわけです。

 

この連載で繰り返し書いているように、個人が強くなった時代において、組織の論理を押し通そうとすると衝突が生じ、その衝突の本質に気付かないままに、組織論理を押し通すと、「炎上」してしまいます。
この終われハラスメント問題も、同じ構造で起きています。

 

踏み絵のような、「最終的な選考の場」?

思い出してみると、私が就活をしていた2001年当時も同じような「人事の強引な迫り方」はありました。

「君は内定だ。ついては、他社を全部辞退してほしい」と机の前に出されたコードレスホン。
今受けている会社に、今この場で電話で辞退してくれ、という依頼。

374155aff4e2f2b2fd3e1f3a9dee49c8_s

私はその時「大人って怖い」って思ったことを覚えています。

その時私はどう対応したか。かすかに覚えているのは、「御社からのお気持ちはありがたいですが、今受けているA社だけはなんとか受けたいです」と回答したことです。嫌な汗をかいたことを体感覚で覚えています。

その後私は、A社に内定をもらい、A社にいくことを決めます。実は、A社の最終面接にいくまでは、「他社を辞退してくれ」と言われた会社が第一希望でした。しかし、「自分には合わないのではないか。A社の方が自分らしくいられる気がする」とだんだん感じ始め、A社の最終面接のころには希望優先順位に変化が起きました。

当時はうまく説明できなかったのですが、今になるとわかります。私は「個人の意思を尊重する感じ」への違和感を持ったのだと思います。

 

もちろんすべての組織は「組織」ゆえに、組織の理屈があります。しかし、当時の私は「組織の理屈を押し出そうとする個人」に、抵抗感を持ってしまったのだとおもいます。

「会社というのはこういうものなのだ」「(個人の想いはさておき)会社としてはこういう思いなのだ」といった、個が埋没したメッセージに、「自分もこうなるのだろうか」という不安を感じたのかもしれません。

しかし逆に考えると、「組織に合わせて生きられるか」を確認するためには、「今すぐ他社を辞退してくれ」とコードレスホンを置いたことは有効に働いたのだと思います。とすれば、あれはハラスメントではなく、踏み絵とでも言うべき「最終的な選考の場」であったのかもしれません。

 

恐れず、想いは伝えましょう。

ある人事の方が、私にこう言われました。
「オワハラだ、と言われるのが心配で、『もう就活はやめて、うちで一緒に働こう』と言いづらくなってしまった」その方は、採用活動をもう10数年やられているベテランの方で、とても愛ある方です。

私は答えました。

「大丈夫ですよ、Mさんは愛ある方だから、きっと伝わります。恐れず想いは伝えましょうよ。」

相手をモノとして見ればそれは伝わります。「この子が辞退すると、A大卒の内定者がいなくなる」というような思いを持った瞬間、それは伝わります。不思議なことに、すべての人間にはそういう思いを感じ取る能力が備わっているのです。

 

人を人として見る。

たくさんの採用目標人数を追っている人事の方にとっては、「そんな簡単なことじゃない」と正論に聞こえるかもしれませんが、簡単なことではないからこそ、結局そこに答えがあるのではと感じています。それこそ、オワハラなんていう簡単な言葉で片づけてほしくないと。

 

株式会社働きごこち研究所
代表取締役 ワークスタイルクリエイター  
藤野貴教氏

アクセンチュア、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性・新規事業開発・営業MGRを経験。2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。
2006年、27歳の時に東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町)で子育て中。家は海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)。朝の海が大好き。

  • facebook share
おすすめ資料

【市場レポート】2017年新卒採用を考えるためのレポート集 

これまでにリリースした市場レポートの中から、17卒の計画を考える参考材料となるものをまとめました。2015年9月実施の学生向けアンケート結果も掲載。採用手法の見直し、予算組などのシーンでご活用いただけます。

<内容>   1.市場動向(企業)  2.市場動向(学生)  3.新卒採用のメリット  4.新卒採用手法の変化  5.インターンシップ  6.採用予算