藤野貴教氏 連載【採用のオモローな未来を創造する!】

採用スケジュール変更の最大の罪悪。学生に“嘘”をつかせるという悲しい経験をさせたこと

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≪連載第2回≫株式会社働きごこち研究所代表の藤野貴教氏による【採用のオモローな未来を創造する】連載。“採用の未来を想像する旅”をご案内します。

【採用のオモローな未来を創造する!】
<第2回>採用スケジュール変更の最大の罪悪。学生に“嘘”をつかせるという悲しい経験をさせたこと

≪働きごこち研究所代表 ワークスタイルクリエイター 藤野貴教氏連載≫

 

採用スケジュール問題の「本質」は何か?

2017年卒の採用は、選考スタートを8月から6月に前倒しすると経団連が表明しました(2015年11月9日)。迷走している就活・採用スケジュールですが、この問題の本質は何か?について考えてみましょう。

 

本来は学生が勉学に集中できるように選考開始を2016年から後ろ倒しにしたのですが、結局就活は長期化し、インターンシップが行われる3年生の夏から、大企業が選考を開始する4年生の夏までおよそ1年間、学生は「就活状態」にありました。

「ルールを守らずに抜け駆けする企業がある」

「学生の内定辞退が続出した」

「夏の暑い時期にスーツを着ていたのが大変だった」

などなど、多くの不満が出ていましたが、昨年の採用スケジュール後ろ倒しの「最大の害悪」は、
“学生に「嘘」をつかせる悲しい経験をさせた” ということだと私は思います。

 

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16卒学生が経験してしまった「罪悪感」とは

大手の選考は8月にある。自分の可能性を試してみたいから、大手の人気企業にも挑戦してみたい。しかし、今目の前で「あなたが必要だ、一緒に働こう」と言ってくれている中堅企業にも、恩義を感じている。

いくら売り手市場とはいえ、まだ面接も受けていない大手企業に、入れるかどうかはわからない。それよりも、自分のことをしっかり見てくれたこの企業で働くのが幸せなのではないだろうか。

でも、やっぱりまだあきらめきれない・・・。まだ面接さえ受けてないのだもの・・・・
でも目の前の人事の人はこういっている。
「内定を出せる人数には限りがあります。内定を受諾するということは、このあとの就職活動はやめていただきたいのです。」

・・・・どうしたらいいんだ。

 

もしあなたがこんな状況に陥ったらどうしますか?
正直に、「内定は大変ありがたいです。まだ大手を受けたいので、就活を続けます。」と言えますか?それとも、本当の気持ちを隠して、内定を受諾してしまいそうですか?

16卒の学生は、「決断できない状況下で、決断を迫られる」という実にタフな状況に陥りました。もう一度言いますが、「まだ大手企業の面接さえ受けていないのに、就活を終える決断を迫られる」のですよ?

職業選択の自由はどこにいったのでしょう?

 

「内定承諾と言ったのに、裏で就活を続けていた」

「今年の学生にはだまされた」

という人事のつらい声が今年多く聞こえてきましたが、
一方で学生も、
「ほんとうは嘘などつきたくない」のです。

 

もっと言えば、

・目の前で一生懸命「自分と働こう」と言ってくれている大人の社会人に対して、
・うれしい、ありがたい、その気持ちに答えたいと感じ、
・ここで働こう、と一瞬でも感じている今の気持ち自体に嘘はない

のです。

 

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でも、その気持ちを感じた1か月後には、大手企業が「さあ、こっちも選考始めますよー。どうしますか?」と迫ってくるのです。

 

彼(彼女)はこう感じるでしょう。

・申し訳ないけど、自分の可能性を試してみたい
・挑戦しないということは、一生後悔するのではないか?
・ならば、挑戦してみよう。落ちたら、内定をもらったあの会社に行けばいい

この時、彼(彼女)の中に芽生える、「自分を大切に考えてくれた人を裏切る罪悪感」。

22歳かそこらの若者に、「人を裏切る」という経験をさせてしまう。このことが、今回の採用スケジュールが生み出した最大の問題であると私は感じます。

 

誰かがコントロールする時代は、もう終わった

もし、大手と中堅企業の面接スケジュールが同時進行で進んでいれば、「今受けているところだけ、受けさせてください」と正直に言いやすくなりますし、すぐ合否の結果が出ますから、「罪悪感を感じる期間」も短くて済みます。

同時に進行するからこそ、比較もできるし、意志決断もしやすくなります。

もし野球のドラフト会議で、「巨人と阪神だけが1か月後に指名」みたいなことがあったら、みんなが困りますよね?それって、不公平ですよね。

 

こういう話になると、

「日本の新卒一括採用の仕組みがおかしい」とか、
「みんな通年採用でいいじゃないか」

という議論がでてきますが、
そうなんです、もうこの「仕組みを誰かがコントロールする」という時代が終わっているのです。

d299f1c26775c87cb9c9684e8c3ea239_mこの世の中は、どんどんオープンで、フラットになっています。

大人がいくらコントロールしても、個人は自由に動きます。
個人とは学生であり、人事であり、リクルーターであり、ベンチャー経営者を指します。

すべての個人と個人が、「出会いたい人に出会う」「やりたい仕事に出会う」ために、オープンでフラットな環境下で、マッチングし始めています。

8月だとか、6月だとか、というのは、はっきり言ってもうどうでもいいのです。

「コントロールする」「ルールを決める」ということに、もう意味がないんだと、みんなもう気付いているのです。

 

ならば、いっそ就職活動なんてしなくても、就職できる仕組みがあればいいと思いませんか?就職活動・採用活動を「オモローな未来」にもっていくアイデアは、就活ルールの規定ではありません。「就活なんてしなくても、就職先が決まるプラットフォーム」があればいいのだと私は思います。

そのプラットフォームは、テクノロジーの進化と、私たちの価値観の変化によって生まれてきます。あなたの毎日がライフログとして記録され、あなたの考え方や行動を評価してくれる個人から、「あなたと働きたい」というコンタクトがやってくる未来。(もう既に実現化され始めています。)

その未来はもうすぐ近くまで、来ています。

 

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株式会社働きごこち研究所
代表取締役 ワークスタイルクリエイター  
藤野貴教氏

アクセンチュア、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性・新規事業開発・営業MGRを経験。2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。
2006年、27歳の時に東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町)で子育て中。家は海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)。朝の海が大好き。

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