曽和利光氏 連載【「人を表現する言葉」を考える】

「人を表現する言葉」を考える(その5)『好奇心』

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≪連載第5回≫元リクルート人事部GM、株式会社人材研究所 代表の曽和利光氏に【「人を表現する言葉」を考える】をテーマにお話いただく連載です。

「人を表現する言葉」を考える(その5) 『好奇心』

言うまでもありませんが、昨今、世の中はその創造性によって企業間の勝負が決まるようにどんどんなってきており、そのためか、知的な「好奇心」があることを求める人物要件として掲げている会社も大変多くなっています。基本的に、「社会的望ましさ」の高い言葉と考えてよいと思われます。「好奇心」とは、「奇なるものを好む心」ですから、「珍しいことや未知のことなどに興味を持つ心」を指します。創造性とは新しいことを生み出す力ですから、「好奇心」を持っている人は新しいこと≒今までに経験したことのない、珍しいこと、未知のことに興味を持つはずだということで、人物要件になっているのでしょう。

picjumbo.com_HNCK9434創造とはよく「ゼロから1を生み出す」ようにも言われますが、本当のところは「既に存在しているもの同士の新しい組み合わせ」であることがほとんどです。そう考えると、好奇心が旺盛で、その結果、多種多様な知識を持っている人は、その知識同士の「新しいつながり」を見つけるのも得意かもしれません(というよりも、多様な知識がなければ、その新しいつながりもないですよね)。組織の創造力を高めたい企業にとっては、やはり好奇心を持った社員は期待の星に見えるのではないでしょうか。

ただ、ここに一つ問題があります。好奇心の旺盛な人は、もちろん上記のように、新しいことに強い関心を持つ傾向はありそうなのですが、新しいこととは創造性の「結果」であって、「結果」に興味を持って面白がる人が、それを生み出すことができるかどうかは別ということです。誰にでも好きなミュージシャンがいると思いますが、ミュージシャンの作る楽曲を享受することと、その楽曲を作れるかどうかは全く違うことだと言えば、お分かりになっていただけると思います。ある領域のオタクで、それについてはどんな細かいことでも知っている人だからと言っても、その領域で何かを生み出せるわけではありません。

picjumbo.com_HNCK3991別の観点で考えても、好奇心旺盛な人は、むしろ創造性が低い可能性があります。創造という行為は「生みの苦しみ」という言葉もあるように、長期間に渡る辛抱を必要とする場合もあります。一瞬のひらめきで何かが創造されたように思えても、多くの場合、その背景には長い間の深い思考などがあるものです。一つのことを考えて考えて考え抜いて、初めてある時に思考がブレイクスルーするわけです。そう考えると、好奇心が旺盛な人は、いろいろなことに目移りして、一つのことを考え続けるのは苦手な場合もありそうです。

結局、好奇心も、それが創造性につながるかどうかは、一概には言えないということです。単に知識を享受する人なのか、生みだせる人なのかをきちんと見極めなくてはなりません。

株式会社人材研究所
代表取締役社長  
曽和利光氏

採用後ろ倒し対策のコンサルティング、面接官・リクルータートレーニング、イベント選考アウトソーシングなどの採用をすべて一気通貫で行う。元リクルート人事部ゼネラルマネージャー。リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで人事畑を進み、現在は株式会社人材研究所を設立。採用領域を中心に、人事評価制度の構築・改定等、企業の様々な人事課題解決に取り組む。就活「後ろ倒し」の衝撃(東洋経済新聞社)、知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48(東洋経済新聞社、共著)、「できる人事」と「ダメ人事」の習慣(明日香出版社)、DVD 120分でわかる!! 就職面接の新常識(ヒューマンアカデミー)、その他連載多数。

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