【覆面座談会】後ろ倒しはどうだったのか? 〜2016年卒学生が語る真実〜③

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【座談会参加者】

2016年卒学生:Aさん(企画発案者)、Bさん、Cさん
2017年卒学生:Dさん、Eさん、Fさん
企業採用担当者:Gさん、Hさん、Iさん
学生向けサービス提供者:Jさん(モデレーター)、Kさん、Lさん
大手新聞社 記者:Mさん

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増える就活サービス。就活は多様化へ。

■2016年卒学生 Aさん:
ここまでのお話で、企業が大学に“キャリア教育”という形で入っていき、大学生活の入口のところから変えていく必要があるのではないかという話が出ました。これはどちらかというと、体質改善の話ですね。時間をかけてやっていかなければいけないところだと思います。

一方で、2017年卒の採用がもう始まっていくという中で、これから就活に直面する2017年卒の学生に対して、企業、学生の双方で問題の解決のために考えていかないといけないと思うのですが、企業の皆さんはどうとらえていらっしゃるでしょうか。

■学生向けサービス提供者 Lさん:
2017年卒で本選考の時期が“また”変わることにより、学生は先輩のアドバイスが使えないということになります。どうすればいいのか…ということを考えているだけで時間が進んでしまって、結局は一斉に選考解禁する大手企業を見始めてしまう結果になるのではないかと感じています。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
2016年卒の学生の皆さんは、経験者としてどう感じますか?

■2016年卒学生 Cさん:
僕は、うちの大学の学生向けLINEアカウントを管理しています。グループメンバー260人くらいに対して「2017年卒の選考解禁が6月に前倒しされる。どう思うかご意見ください」というメッセージを送ったのですが、5人しか返って来ず、その5人も否定的な意見でした。自分の動き方次第というのは、みんなわかってはいると思うのですが、2016年卒の人は振り回されてきて“またか”というような意見が多かったですね。怒っているというか、呆れているというか。

2017年卒採用は、秋冬のインターンが多くなりそうですよね。そこから採用するという企業も多いと思いますが、そうなるともう今頃から自己分析は出来ていないとだめですよね。セミナーなどに行っていない人もやはり多くて、でも決まる人は決まるだろうし、動きが遅い人はつらいことになってしまうのではないかと思います。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
真面目に3月から解禁だからそこから始めよう、という学生も多いと思いますが、4月後半くらいがエントリー〆切で、5月にテスト、6月に選考開始。となると、選択肢を広げていく時間はほとんどないですよね。選択肢を広げられないうちに選考が始まってしまうというのはリスクかなと思うのですが、いかがでしょうか?

■企業採用担当者 Iさん:
旧スケジュールが、学生にも企業にもちょうど良かったのではないかなと思います。旧スケジュールは、12月に広報スタート、12月~翌年1月あたりで企業のことも見えてきて、業界のことや企業の特性もわかった上で、選考が受けられるスケジュールだったと思います。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
エントリーシートの選考に1ヶ月半くらいはほしいですよね。ところで、企業の方に伺いますが“早く動く”というところはありますか?

■企業採用担当者 Gさん:
うちは正直あんまり考えていないです。外資系企業のように「いつ来てもいいよ」というスタンスを提示しなくてはいけないなと思っています。早く動いている人にも、3月から動き始める人にも門戸を開けて、一番ピークのときに、ちゃん受け入れることができる。そういった状況を作るのが企業の責任なのではないかと思います。

■学生向けサービス提供者 Lさん:
就活市場もどんどん変化していて、エージェントの数も増えてきています。学生も就活リテラシーの高さによって、使っているサービスが違う。早期に動き出す学生が使っているのはこういうサイトで、中期以降に強いのはこういうサービスでというように、ベンダーの特色を使い分けながらリスク分散するような形で山を三つくらいつくると良いだろう、というのが16卒の振り返りですね。17卒はそれをさらにうまく適用させていって、今の時点で就活サービスに登録していて、自己分析もしっかり出来て、自分の情報を出せている学生に対しては、個別に面談してアプローチする。それぞれのピークのタイミングに企業側が体制を整えて山を張る、という採用方法に切り替えられたらいいですね。

 

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「みんな同じ」から「個」の時代へ

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
先日ビジネススクールを経営されている方と対談させていただいたときに「これまでは、個人が組織に合わせる社会だった。これからは、個に組織が合わせていかないといけない」とお話されていました。いま、まさにそんなお話だと思って聞いていました。新卒採用自体、就活自体、変わっていくんだろうと思います。

■2016年卒学生 Aさん:
いかに学生が企業に寄り添うかではなくて、企業や社会が、いかに学生に対して寄り添えるか。いろんなアドバイスをしていただいて、知見を深めて、一人一人がベストなキャリア選択ができるように、ステップを用意してもらえるかというのはすごく大事なことだなと思いました。そんな環境があればありがたいですが、僕は自分で考えて動ける方だったので、そういうものがあれば他の人にぜひ使ってもらいたいと思う余裕もあった。そういう動きは、どんどん拡散して輪が広がっていくようにしたいと思います。根本の考え方として、学生と社会というギャップを少しでもなくすことができるか、というのは今後日本が強くなっていくために、大きなファクターだと思うんです。

■企業採用担当者 Gさん:
時期がずれることに関して、僕は別にいいんじゃないかと思っていて、結局学生も企業も右往左往するので、2:8の法則でいう2の学生が最初に動く。今までは護送船団方式で一塊だったから、要はできない人も企業が何とかしようと底上げしてきたのですが、個が強くなり、組織が個に合わせていくとなると、誰に合わせるかというと出来る人順なんです。その状況変化にどう対応するか。我々企業側もそうですし、学生側もそれを求められる時代になっていきますね。

■学生向けサービス提供者 Lさん:
某ニュースアプリでいろんな方がコメントされていますが、就活スケジュールなんて撤廃すればいい、というコメントもよくありますが、撤廃して海外のようになると、学生は逆に厳しさを増すのではないでしょうか。企業はそういうところに気付いているから、学生に気付いてもらう機会提供はやっていかなければならないと思います。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
ソフトランディングも必要で、いきなりガラっと変えてしまうと格差が出ます。大学や企業がそういった教育をしっかりやって考え方を根付かせなければならないと思います。受験脳ではだめですね。今の教育は、答えがあるものに対して最短で導く方法を探すというのが人生の戦略のようになっている。Googleが出来、誰でもそれができるようになれば、差別化ができません。社会人は答えがない中で、どうやって目的を達成するか、という思考なので学生のときと全く変わるんですよね。でも学校にはそれを教える人がいないので、企業がそこに介入して考え方を育てていく必要があると思います。最終的には、社会に出る前に準備が出来るというのが理想ですね。大学、企業、学生。この3者のコラボレーションをどう活用するのか。それが社会の命題だと思います。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
ここまでのお話、Mさんは何かありますか?

■大手新聞社 記者 Mさん
2017年卒の学生さんにうかがいたいのですが、ここにいらっしゃる学生さんは2割の学生で、自分で考えて動ける方々だというのはよくわかったんですが、その周辺にいる8割の学生さんは、2016年卒と比べて動きがだいぶ早まっている感じはありますか?

■2017年卒学生 Dさん:
二極化してますね。将来やりたいことがある人たちは、ちゃんと考えて行動していますし、普通に遊んでいればいいやという人たちは全然動かないですね。FacebookとかTwitterで流れている「前倒しになった」という情報もまだ知らない人が自分の周りには多いです。

■大手新聞社 記者 Mさん
なるほど。あと企業の方に伺いたいのですが、新卒一括採用の見直しや、採用時期の通年化という話が出ましたが、今まで協定で決まっていたのに、撤廃されたら企業の負担にならないですか?

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■企業採用担当者 Iさん:
負担は相当増えます。

■大手新聞社 記者 Mさん
それは、企業の方にとっては望むことなんですか?

■企業採用担当者 Iさん:
少なくとも、ルールを作っている人たちは困らないと思います。学生や企業への配慮がない限りは、デメリットの話は出ないんじゃないでしょうか。合理的には決まらないのではないかなと思います。

■企業採用担当者 Hさん:
本当に撤廃することになったら、それをきっかけに採用設計を本気で考えなおす会社が増えると思います。経営戦略、事業戦略がどうなっていて、そのなかでどんな採用設計をしていくのか。議論が生まれると思う。そういう枠で考えたら、もう少し採用設計の仕方が各社において変わるかなというのは思いますね。

■学生向けサービス提供者 Lさん:
学生も同じかもれませんね。通年採用になれば、いつから就活を考えないといけないかということも人それぞれ変わってくるので、ちゃんと意識するかもしれませんね。そういう意味で効果があるかもしれない。大学を受けるときって、受験料がかかりますが、就活するときもエントリーを有料化するというのもいいという意見がありますよね。あれはどう思いますか?

■企業採用担当者 Hさん:
お金をとっている企業も既にあるので、やり方と方針次第かなと思います。ただ、すべての企業がそれをすべきではないと思います。お金というのは、不平等に配分されている資源。学生にコントロールできないような要素、要因で受験機会をコントロールするようなものは、社会としては導入すべきではないなと思います。

■企業採用担当者 Gさん:
お金を取らなくても、某生命保険会社のように、エントリーするのに、結構考えないといけない仕組みを作れば本当に来たい人しかこない。あとはエントリー時間や時期をかなり限定するとか。情報感度が高くないと知らないままに終わってしまいますが。お金という負担はよくないと思いますが、ある程度のフィルターはあった方がいいですよね。

■2016年卒学生 Cさん:
情報はどこにいても取れます。そこは、学生のみんなにも責任があると思います。その情報をキャッチアップしないのは、自分の責任。自分の人生ですから。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
でも、こんなに便利な時代なのに、地方の情報格差が非常にあるように思いませんか?

■企業採用担当者 Hさん:
思いますね。

■企業採用担当者 Iさん:
とてもあると思います。

■企業採用担当者 Gさん:
ネットで調べればすぐわかることを知らないこともありますよね。

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■企業採用担当者 Hさん:
東京の学生は、入ってくる情報量が多いですね。知らず知らずのうちに、そこに身を置いているから勝手に入ってきますが、地方は本当に難しいと思います。

■2017年卒学生 Dさん:
半径5kmの中で人生を終える人もいますよね。そういう人に東京の良さを伝えても、はっきり言って余計なお世話なので、価値を伝えられるわけではないですね。

■企業採用担当者 Gさん:
半径5kmの人生とそうではない人生。両方知って選べるのならばいいと思います。要するに認知ですよね。世界と戦わないと!とか、起業しなければ負け組だ、なんて一方的な価値観を伝えてしまうのは危険だと思います。どちらの世界も知っているけど、選択できるというのが大事だと思います。

 

座談会感想

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
最後に、本日の感想と気付きを、一言ずつお願いします。

■2016年卒学生 Aさん:
とても面白かったです。働くという事に対して、自分で考えて課題を解決していくことが、どの分野でも必要となっているんだなと感じました。

■学生向けサービス提供者 Lさん:
会社にもいろいろあって、採用するタイミングも考え方も様々。いろんな人がいる中で、どうすれば3年以内の早期退職を防げるかといいうことを考えると、ちゃんとマッチングさせることが成果につながるんだと思いました。

■2016年卒学生 Bさん:
2017年卒の学生と話す機会も多いのですが、一人で何かできるのかと思っていました。今日来て、もしもこれから自分が何かのタイミングで採用側にまわったときに何ができるのか、というような視点ができましたし、視野が非常に広がりました。集団心理の中でしか動けないような人たちに対しても、自分から歩み寄ることで、押しつけではなく、機会の提示が出来ればなと思います。今日得た知見を下の代にも伝えていきたいと思いました。

■2017年卒学生 Dさん:
最近友達と就活について話していて、採用になると企業の人達は騙しにくるぞ、というような警戒心を持っている人が結構多くて、人事の方々は本当はどんな感じなんだろうと思っていたのですが、今日お話してみて、真剣に学生のことを考えている、こんな方々もいるのかと気付きました。すごく意義があったと思います。

■大手新聞社 記者 Mさん
報道に携わる身として、とても勉強になりました。今日集まった方々は“とんがった企業”と“とんがった学生”だと思います。最先端で意識を高く持って自分から考えて動く方々の就活を追うと同時に、そうでない方の社会システムとしての就活という側面もあります。就活報道は難しいですね。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
このように、きちんと考えている人事の方は少ないと思います。もっともっと学生と採用で関わる企業の方々には、考えてもらいたいですよね。企業も学生もこれだけ真剣に考えて、今のルールにギャップがあるということは、要は今の社会のシステムに頼れないということだと思います。社会、大学、学生それぞれがきちんと考えていかないといけない世の中になってきたということですね。

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