【覆面座談会】後ろ倒しはどうだったのか? 〜2016年卒学生が語る真実〜②

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【座談会参加者】

2016年卒学生:Aさん(企画発案者)、Bさん、Cさん
2017年卒学生:Dさん、Eさん、Fさん
企業採用担当者:Gさん、Hさん、Iさん
学生向けサービス提供者:Jさん(モデレーター)、Kさん、Lさん
大手新聞社 記者:Mさん

 

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“働く”ということを本気で考える

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
ではここで、学生の皆さんから企業の方へ質問はありますか?

■2016年卒学生 Aさん:
いつ採用してもいいのではないかというお話があったと思いますが、ではなぜ、今は同じタイミングで採用を行うのでしょうか?その人のやりたいことがはっきりしていて、こんな風に会社に貢献して、最終的にこうなりたいです、というビジョンがあって、それを受け入れる環境があれば、いつ受け入れてもいいじゃないかと思うのですが…。

■学生向けサービス提供者 Lさん:
そういう協定を経団連が作ったんですね。経団連は大手企業が多いのでどちらかというと採用に困っていない企業が多いのが前提。その中でどの企業も抜け駆けされたくない。だから協定を作っているのですね。

ただしそれを破っている会社もある。だからこんがらがっているのだと思いますが、撤回してしまえばいいのです。そうすると一旦は公平になると思います。私の根本的には、学年すら関係ないと思っていて、1年生でも内定出てもいいと思うのです。その方が残りの3年間学業に専念できるのであればそれも良いと思います。ただし、4年間内定者をグリップし続ける体力が、企業側にないですね。

■企業採用担当者 Hさん:
学生本人がどのタイミングで何を求めるかによるのかなと思います。今日来られている2016年卒の学生さんは、時期の影響をほとんど受けなかったのですよね。ほとんどの学生からすると、新卒採用というところしか見えてないのかもしれませんね。実は、卒業して1~2年海外放浪してからでも受け入れる企業はいっぱいあると思います。

■企業採用担当者 Iさん:
一方で、アメリカとかヨーロッパの採用方式は、インターンシップが多いですよね。インターンシップで正社員の半分くらいの給与で働くという。生まれた土地で働く人が多いですよね。いきなり正社員並みの給与をもらえないので、親元で暮らしながら働くんですね。

新卒一括採用は日本と韓国だけです。3年で3割辞めるという話もありますが、ある意味セーフティネットでもありますよね。

■企業採用担当者 Hさん:
1970年代は縁故採用が成り立っていたのですよね。1980年代はバブルで、大量消費・大量生産に合わせるかたちで新卒一括採用の仕組みが生まれて。そういった歴史があった上での仕組みなのですが、既得権益のようなものもありますよね。ですが、いよいよこのままじゃいけないのではないかということが、2016年卒の採用後ろ倒しを作用点にして、浮かび上がってきたのではないでしょうか。だからこそ、ディスカッションがいま必要なんだと思います。

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■2016年卒学生 Cさん:
僕は、なぜ日本じゃないといけないのかなと思います。友人がシンガポールやフィリピンにいますが、インターンとして働いて年収500万円くらい稼いでいる人もいます。もっと視野を広げてもいいのではないかなと思うのです。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
もっと視野を広げれば生き方が自由になるし、就活も自由になるのに、時期の問題だけがフォーカスされてニュースになり、本質的なところが話題にならないですね。もう少し“働く”ということはどういうことなのか、ということを場所に関することも含めて、僕は学生に伝えています。

■2017年卒学生 Eさん:
僕は今年の7月までアメリカに留学していたのですが、向こうの学生と話しているとき「お前は将来どんな仕事がしたいんだ」と聞かれました。その時僕は、就活スタートまでまだ1年くらいあるのだから、“まだそんなに考えなくていいじゃん”と思いました。友人には「日本にはこういう就活の制度があるから、まだ就活始めなくていいんだよ」という返事をしました。すると「そんなの待たずに考え始めればいいじゃないか」と言われたのです。

アメリカの学生は、ひとりひとりが社会の一員だということをとても意識しているなと実感しました。またアメリカでは学生のうちに就活をあまりしないそうで、卒業後いろんな会社を見て、キャリアを考えていくのが一般的でした。

■企業採用担当者 Gさん:
うちの会社は、ベトナムやハノイ工科大学、北京大学とか、エンジニアがメインなんですが、一定数海外の大学から採用しています。彼らは日本で働きたいという気持ちがすごく大きいですね。勤勉で頭もいい。今後、就活で戦う土俵がどんどん変わって、海外の学生とも戦っていかなければならなくなるでしょう。そういう覚悟を学生も持たないといけないし、企業側もそれを受け入れる土壌を作っていかないといけない。日本はガラパゴス採用と呼ばれていますが、国内だけで争っていても、企業は優秀な海外学生を採れないし、国力も上がらない。学生にとってもグローバル社会で戦っていけるよう、海を越えて世界で同世代と戦っていく意識を持っていなければいけない時代に突入したのかなと思います。

■2017年卒学生 Fさん:
そういう時代だからこそなのかもしれませんが、後ろ倒しスケジュールになったとはいえ、水面下で企業は動いていたところが多いですよね。経団連に属している、属していないというのもあるとは思いますが、新聞にも大きく載るような表向きのルールがあるにも関わらず、前倒しで動く理由はどういうところでしょうか?

■企業採用担当者 Hさん:
うちは経団連に属していますが、いわゆる就職倫理協定にはサインしていません。本選考も可能な限り夏休みにはかぶせたくなかったのです。3~6月に選考活動を行いました。学生の休みの期間を自分たちのために奪うのは社会のエゴだと思ったのです。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
うちは、ベンチャー企業の新卒採用支援をしています。大手企業は、予算をかけて就職ナビでたくさんPRできますが、特に中小ベンチャーは採用費用も限られています。学生は100社エントリーしても実質30社くらいしか受けられません。30社の中の1社にならないと。その中でどう戦うかというと“早く動く”ということになると思います。

■2016年卒学生 Bさん:
かなり過激な言い方になりますが、学生も企業も、結局経団連の決めたルールに乗っかるのはどうなのか、と思います。“後ろ倒し”は、そのルールに乗っからない学生には有利でした。2:8の法則でいう2割の学生ですね。企業側もそうです。2割の企業に聞くと、ルール関係なくやっている。ルールを守った8割の企業が多分失敗しているんじゃないかと思います。企業側も学生側も、自分が達成すべき目標を掲げたらどうやっていくか、スケジュールと内容も自分で考えて動けばいいだけの話だと思います。

■企業採用担当者 Hさん:
現状では経団連に属し、倫理憲章にサインした企業が経団連の示したスケジュールを守らなければなりません。“経団連に属している企業すべて”ではないのです。企業の戦略として、その指針は受け入れられないと判断するのも経営者ですし、採用担当者だと思います。ルールを守っているのがまずかったのではなく、その企業の経営戦略が間違っていたということなんです。

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キャリア教育の未来

■企業採用担当者 Gさん:
今年は、大手の選考解禁が8月だったから、それ以前に他の企業から内定をもらっていた学生が、8月になって大手の内定をもらった途端、一斉にそれ以前の内定を辞退するということが起こりましたよね。それも問題だと言われていましたが、そこも予想できるし、先に手を打つべきことでルールの問題ではないですよね。

「企業のグリップ力」という話もよく聞きますが、そもそもその言葉は間違っていると思います。そもそも選考や説明会の段階で、マッチングがうまくいっていればグリップする必要なんてないのですよね。そこをわかっておらず、応募者の中から優秀層の学生だけを残し、内定後にどうやって逃げられないようにするか。そこしか企業が考えていないから、一斉内定辞退ということになったのだと思います。

もともとちゃんと合う人だけを採用しておけば、そういうことをする必要はないのです。8月初旬に内定辞退がたくさん出て、右往左往している会社は、その部分の戦略をミスしていただけの話で、前倒しになろうが後ろ倒しだろうが、あまり関係ないところだと思います。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
優秀な学生と会えて、内定も出せた。しかし、8月1日に天国から地獄へ落とされた企業がかなり多かったという話です。超大手を第一志望にしているような学生は、優秀ですし就活の準備もちゃんとやっているので、よく見えますよね。そういう学生に早期に会い過ぎて、本来の採用ターゲットを見逃し、上位層ばかりに内定を出してしまったというターゲティングの問題ですね。これは、2016年卒だけではなく2017年卒でも起こり得る話です。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
すべての学生を10とすると、内2割の人は自分で考えて動けるので困らないと思います。ただ、残りの8割の人にも目を向けて何かできることはないかと考えることは必要かと思います。

■2017年卒学生 Fさん:
潜在層の育成は、国の問題というか…キャリア教育の機関がないのですよ。大学のキャリアセンターは、社会を経験せずに卒業後すぐにキャリアセンターに入ったために、語れない人が多いという話をよく聞きます。そうなると、企業側が学生に寄り添って、学生と社会の接点をつくっていく必要がありますね。それが今、インターンシップになっていると思いますが、もっと違うコンテンツ化されたものがあってもよいのではないかと思います。

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■2017年卒学生 Fさん:
そのインターンシップですが、会社の良いところしか見せない宣伝型のものが多い。ゲームをするなど面白い企画も多いですが、そういうことではなくて、例えばITベンチャーだったら「業界にどんな企業があって、自社の立ち位置はどこで、これからこういうことをしたい」というように、その企業とその外側を見せてもらいたいんですよね。今は、インターンシップというものが、早く刈り取るために餌を撒いているに過ぎないと思います。もっと世のためになるようなプログラムがないのかなと。

■企業採用担当者 Hさん:
利他的な考え方ができる採用担当者がもっと増えなければいけませんよね。CSRの一環だと思います。会社単体の利益だけを見るとあまりないかもしれませんが、社会全体としてはプラスの価値を見出していると思います。そういった志を持って、学生と向き合える人がいかに増えるか。その思いを一社一社の担当者が持っていれば、教育機関でのキャリア教育の必要性がなくなっていくかもしれません。

■2016年卒学生 Aさん:
大学のキャリアセンターは、だいたい学生の3分の1しか来ませんね。

■企業採用担当者 Iさん:
動き出しの早い学生は、キャリアセンターには行かないように思いますが、なぜ行かないのでしょう?皆さんは行ったことありますか?

■2016年卒学生 Bさん:
一度だけあります。結局ガイダンスなどで聞く話は、自分で情報を取ってくることができる範囲なのです。30分間のセッションもあったのですが、自分の話を聞いてくれて「すごいね、よく考えているね」で終わってしまいました。すべてのキャリアセンターがそうというわけではないと思いますが…。でも、せっかく相談に来たからには何かアドバイスが欲しいですし、何かしらのプランを出してほしなとは思います。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
キャリアセンターをアウトソーシングするのはどうなのでしょうか。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
キャリアセンターをアウトソースしても、6割の学生は来ないのではないでしょうか。今の教育はすべて受け身じゃないですか。実践型教育をもっと進めて、必修授業でまず留学に行くとか、社会調査のようなものがあるとか。企業のインターンに参加するのも、授業化してしまえばいいと思います。例えば1年の間は必修で、2~3年になると選択できるようにして。そうするともっと自分からキャリアセンターに行くと思うんですよね。

■企業採用担当者 Hさん:
アウトソーシングはすごくいいと思います。学習院大学の就職課がすごく人気で、8割の学生が来ているのだそうです。そのキャリアセンターにいるのが、元リクルートの方。新聞にも取り上げられて、オワハラにどう対応するかというような話でテレビにも出てますね。

“本当にキャリアを知っている人”が仕組みを作れば噂で広まりますし、人も来ますよね。プロと自分たちの違いを、キャリアセンターの人がきちんと知るべきだと思います。授業の枠組みの中で、“就活”ではなく“仕事”を教えることができるともっといいと思います。

■企業採用担当者 Gさん:
大学と企業側がうまくコミュニケーションをとり連携できれば、本当は就職エージェントはいらないと思うんです。座学でインプットする大学。アウトプットで社会人基礎力を育てていく企業。ここがうまく噛み合って回るようなシステムができたらいいですね。

PBL(Problem Based Learning)というのは、文系の人が聞くと新しい言葉や制度のように感じると思いますが、理系向けには、50年くらい前からずっとやっているのです。文系でいうと、経済、経営、教育などを勉強している人たちにとって企業をPBLの形式で学ぶというのは、ハードルが高いのだろうとは思います。部外者である学生をオフィスの中に入れられないという企業も多いでしょうし。でもそんな中で、実現させるというのは、社会としては大きな取り組み、チャンスなのかもしれませんね。

【覆面座談会】後ろ倒しはどうだったのか? 〜2016年卒学生が語る真実〜③ に続く)

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