【覆面座談会】後ろ倒しはどうだったのか? 〜2016年卒学生が語る真実〜①

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2016年卒の採用活動時期は、経団連の指針に従う大手企業を中心に後ろ倒しになりました。従来、3年生の12月に広報解禁だったのが、3月へ。4年生の4月に選考解禁だったのが、8月へ。経団連に属し、就職倫理協定にサインした大手を中心とした企業は基本的にはこの指針を遵守しましたが、経団連に属さない外資系企業や中小、ベンチャー企業はもっと早い時期から採用活動を開始しました。

大手の選考解禁となる8月には、約7割の学生が内定を持っている状態でしたが、大手の内定が出たことでそれまで保有していた内定を辞退する学生が続出。オワハラという言葉も生まれました。学生にとって、また企業にとって、この“後ろ倒し”は本当のところはどうだったのか。

企業の採用担当者3名(1社1名)、2016年卒の学生3名、2017年卒の学生3名、そして大手新聞社の記者1名、総勢10名にお集まりいただき、この問題について覆面座談会を実施しました。

 

【座談会参加者】

2016年卒学生:Aさん(企画発案者)、Bさん、Cさん
2017年卒学生:Dさん、Eさん、Fさん
企業採用担当者:Gさん、Hさん、Iさん
学生向けサービス提供者:Jさん(モデレーター)、Kさん、Lさん
大手新聞社 記者:Mさん

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“後ろ倒し”のメリット・デメリット

■2016年卒学生Aさん(企画発案者):
後ろ倒しの問題はメディアでも話題になりましたが、企業にとっての後ろ倒しの影響の話ばかりでした。学生から見たときに就職活動に影響があったのか。果たして良かったのか、良くなかったのか。学生の率直な意見を今日はお話させていただき、企業の皆様にも本音でお話いただきたいと思います。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
それではまず、“後ろ倒し”のメリット、デメリットから。

■2016年卒学生Aさん(企画発案者):
僕は時期について深く考えたことがないというのが本音です。実は、外資系飲料メーカーに内定をもらったのは3年の10月でした。インターンシップのプログラムがあり、そこでもう決まってしまうのです。あとは他の企業と天秤にかけながら就活を続けていましたが、後ろ倒しは自分にはあまり関係がなくて、自分がやりたいように就活をやって、自分が望んでいたタイミングで就活を終えることができました。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
最終的に入社する企業を決めたのは、いつ頃だったのですか?

■2016年卒学生Aさん(企画発案者):
本来なら3月くらいには終わらせたかったのですが、やはり大手企業の子会社を受けて、経団連に所属していないながらも例年より2ヶ月くらい遅かったようで、内定が出たのは5月でした。他に内定をいただいていた会社を含めて検討し、1週間で判断をして就活終了しました。

■企業採用担当者 Gさん:
大手など、8月から選考を始めたところもありますよね。そういったところを受けようとは思わなかったのですか?

■2016年卒学生Aさん(企画発案者):
大手は自分の性格上合わないという認識はあったので、受けなくても後悔はないだろうと思いました。

■2016年卒学生Bさん:
僕の場合、3年の時は大学生活が忙しかったので、後ろ倒しによるメリットの方が大きかったんじゃないかと思います。ゼミ活動はだいたい3年生がメインになると思うので。

デメリットに関しては、初めて内定をもらったのが4月だったのですが、最終的に進路として考えていた大手ゲーム会社の内定が出たのが7月末。葛藤する期間が長かったですね。メリットもデメリットもあったのですが、周りの話を聞いていると、ちゃんと就活をやっていない人が多かったこともあってか、本当につらそうでした。4月に採用広報活動が解禁になり、いつ説明会や面接が入るかわからない中、単位を落としてしまったらまたもう一年卒業が延びてしまいますし、そういう面で苦労していた人も多かったと思います。

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時期ずれによって進んだ、学生の二極化

■企業採用担当者 Hさん:
4月に内定をもらったところから、7月末に最終決定するまでにプレッシャーってありましたか?

■2016年卒学生Bさん:
はい。4月に内定をもらったのはITベンチャーだったのですが、2~3週に一回は食事会に行っていました。食事会に行くたびに、何人か社員の方を連れてきていただいて。でも自分にはやりたいことがあったので、それに対して理解を深めながらも「本質的にBさんがやりたいことは何なのか、迷っている理由は何なのか」を、一緒に向き合って考えていただけました。

■企業採用担当者 Hさん:
内定先のゲーム会社がずっと第一志望だったのですか?

■2016年卒学生Bさん:
いえ、ファーストキャリアでどれだけ鍛錬を積むかということも重要だと捉えていたので、4月に内定をいただいた会社にも前向きだったのですが、一方で自分が夢中になれるものを誰かに届けたいという気持ちがありました。そこを明確にしたいという話をずっとしてきました。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
私は、学生向けに就活予備校をやっています。毎年100人くらいの学生を見ていますが、毎年企業からのモラハラはありますね。今年もプレッシャーが強かったようで、初めてうつ病の生徒が出ました。大手商社に内定し、ベンチャー企業にも受かり、コンサル会社の内定ももらったのに音信不通になってしまったのです。

学生時代にきちんと物事に向き合う力、逃げない姿勢を身に付けないといけません。内定が出ていたベンチャー企業から毎日電話があったようですが、たとえ大手銀行だったとしても、こういったプレッシャーはあります。学生も精神的につらかったとは思いますが、メンタルをもっと鍛えないといけないですね。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
学生向けにとったアンケートでも、「長期化したことによって精神的な負担が大きくなった」というようなコメントがありました。こういった意見、かなり多くありました。

■2016年卒学生Aさん(企画発案者):
本来であれば、就職活動がコンパクトになるはずだったのに、企業側は待っていられないということでフライング。学生がその流れに引っ張られ、長期化したということかなと思います。リクルートスーツを着ている人を見る期間が増えたと感じました。

極めつけは8月。すごく暑い時期に黒いスーツを着ることになってしまった。先輩のそんな姿を見ていた2017年卒の後輩が「就活ってなんか怖い」と感じるのも当たり前だと思います。

■企業採用担当者 Iさん:
ひとつ質問したいのですが、ここまでのお話を聞いて、2017年卒のお二人はどんなことを感じましたか?

■2017年卒学生 Dさん:
ある会社の説明会に行ったのですが、社長がはじめに「就活とはなんぞや」というような話をたくさんしてくださって、僕はその話をすごくありがたいと思って聞いていたのですが、周りの学生は“ただなんとなく聞いているだけ”という印象でした。その後、面接テクニックの話になったときにみんな一斉に聞き入ってメモまでとっていて“それはちょっと違うのではないか”と違和感がありました。

■2017年卒学生 Eさん:
当たり前のことですが“将来こんなふうになりたい”“こういうことをしたい”という考えがある人は、早いうちにそれを達成する手段となる仕事を見つけて動いている人が、周りには多いですね。そうではなくて“普通に就職できればいいよ”と考えている人は、世の中の動きに合わせて動く。先輩たちを見ていて、大きく二つに分かれていることを感じます。

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■2017年卒学生 Fさん:
僕は、学生の就職支援をやっています。後ろ倒しになったことで、インターンシップから即内定という流れが多くなったように感じていて。それによって、情報感度の良い学生とそうでない学生の格差が広がっているんじゃないかと思っています。

この前、2017年卒の学生向けに社会人と学生の交流会を開きました。こういった機会に社会人と話すことは、僕は就職活動の一環だと思うんですが、インターンシップに参加することが就活だと思っている人もいます。就活の動き出しが分からない学生も多いと思います。時期が変わったことによって、今までの先輩の経験が参考にならないですし、そのあたりで苦戦している人が多いのかなと感じました。

■学生向けサービス提供者 Jさん(モデレーター):
ナビでエントリーした時に就活が始まる、という認識がまだまだ多いですね。自分のやりたいことを考えてやってみるというのも就活だと思います。

 

“決まった形”のない就活へ

■学生向けサービス提供者 Lさん:
インターン=就活、という概念は、大人が作ってしまったようなものですね。私自身は、就活は企業に価値を提供することを約束するものだと思うので、形は決まっていなくていいと思うんですね。いろんな形の就職活動が世界では行われていますが、形が決まっているのは日本だけ。今日来ている学生の方々のように感度が高く、自分で考えられるような人はいいのですが、世の中そういう人がすべてじゃない。世の流れに流される人たちをどうやって救済していくかというのは、社会の課題だと感じています。

■学生向けサービス提供者 Kさん:
就活は、社会人基礎力を判定されているようなものですよね。要は社会人としての基礎力を学生時代につけてきた人は、逆求人の就活サイトでも企業から求められる。そうなるためには準備しなければなりません。最近よく「インターンシップ貧乏」という言葉を使うのですが、インターンシップによく参加していて、SNSでも投稿。行動していることは素敵だと思うのですが、それよりも、自分がどうなりたいのか、どう生きたいのか。そこを考えずに就職してしまうと会社に入っても失敗してしまうのです。

そのあり方を考えるのも大事ですし、逆求人、いわゆるスカウト型のようなサイトがあることは意味があると思いますね。準備が出来ていないと、自分の考えや経験をサイト上でまとめることはできないですよね。逆にその準備が出来ていないのならば、就活やらなくてもいいのではないでしょうか。40年、50年働くんですから、1年くらい遅れても問題ないと思います。企業側も学生に準備を促すような場を提供したり、学生も就職活動の在り方について考えないといけないのではないかなと思います。

■企業採用担当者 Gさん:
そういった考え方が広まると「就活のせいでやりたいことが出来なかった」というような話がなくなるかもしれませんね。

■企業採用担当者 Hさん:
2016年卒の問題なのか、それとも就職活動にまつわる根本的な話なのかがごちゃ混ぜになっていて、そのすべての対応策が時期の話や、学生がどう動いたかという話題に集約されてしまうので、よくわからなくなってしまっているのですよね。僕はやはり、就職するタイミングがみんな一律というのがこれからの世の中ありえないだろうと思います。

いつ入社してもいいし、それこそ一つの企業で働くことがすべてじゃないというような世の中になってくると思いますね。就活を通じて、いろんな会社を知り、いろんな働き方や考え方があることを知ると思います。企業側も、何人採用しなければならないという世界を飛び越して、若い人に学ぶ機会を提供する姿勢が大事なのではないでしょうか。

【覆面座談会】後ろ倒しはどうだったのか? 〜2016年卒学生が語る真実〜② に続く)

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