藤野貴教氏 連載【採用のオモローな未来を創造する!】

第7回「人工知能の進化が生み出す、2025年の採用活動とは」(1/2)

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≪連載第7回!≫株式会社働きごこち研究所代表の藤野貴教氏による【採用のオモローな未来を創造する】連載。“採用の未来を想像する旅”をご案内します。

≪働きごこち研究所代表 ワークスタイルクリエイター 藤野貴教氏連載≫

 

人工知能が進化した時に、私たちの働き方はどう変化するか

人工知能。

このキーワードが、日本経済新聞の紙面にたくさん見られるようになったのは2015年からだと思います。

私は今、テクノロジー系の勉強会に毎週参加し、人工知能・ロボット・IoTなどの最先端で活躍する研究者や経営者の方との間で学びを深めています。その勉強会は「2歩先の未来を行く」というコンセプトで開催されており「人工知能、ロボット、人の心」というテーマで学びの場が開催されたのは2014年9月。約1年先の未来を行っています。

▶︎TheWave 湯川塾
http://thewave.teamblog.jp/archives/cat_1123173.html

 

私も2015年の初頭から、「人工知能が進化した時に、私たちの働き方はどう変化するか」というテーマについて考えはじめました。テクノロジーの進化は、人類の進化の大きな潮流です。テクノロジーが進化することは止められない。だとすれば、私たち人間はテクノロジーとともにどう生きるか、を考えることが求められます。そのときのヒントになるのは、人間が身体性・精神性を自らの手に取り戻すこと、日本人で言えば和の心というJapanese  Spritとともに生きることであると感じています。

この話をし始めるとものすごく脱線していくので、話を採用の話に戻しますが、人工知能の進化は、採用活動にも大きな変化をもたらします。来年の採用に直接大きなインパクトがある、ということではありませんが、10年と言うスパンで見ると確実に、私たちの採用活動の多くを人工知能が担っていく世界に近づいています。その世界を今のうちからイメージしておくことで、「未来への潮流」に自分も寄り添いながら今の世界を生きていくことができるはずです。

というわけで、未来の話と今起きている変化を3点に分けて考えてみました。

 

1.単純なデータマッチング、スペックマッチングは人工知能がやったほうが速いし、正確になる

人工知能の知能レベルが急速に向上している背景には、データ量が短期間でむちゃくちゃ増えたこと、があります。人工知能はデータから学習するからです。逆に言えば、どれだけ頭のいい人工知能をつくったとしても、データがなければ、それ以上に頭が良くならないので、成長が止まります。

picjumbo.com_HNCK1814たとえばわかりやすいのはFacebookのタグ付けです。みなさんがFacebookに誰かの写真をアップすると、「この人って藤野貴教じゃない?」ってFacebookが勝手にタグ付けしてきます。これは、Facebookの中に膨大な「顔」の写真データがあって、過去に藤野貴教がタグ付けされた写真データと、今回の写真データの顔を、Facebookの中にある人工知能が一致させてくれるわけですね。これは便利であるとともに、余計なおせっかいだったりもするわけですが、「すごいね、こんな変顔なのによくオレだってわかったね」なんていう驚きもあったりします。

でもこの自動タグ付け機能も、おととしくらいは精度がまだ高くなく、「藤野じゃない?」という問いかけが、「違うよ、これは電波少年のときの“なすび”だよ。似てるけどって、オイ!」ということ(この一人ツッコミは作り話ですが)も少なくありませんでした。まだデータ量が少なかったのでしょうね。トライアンドエラーの中で、人工知能の学習も進み、今ではかなり「正解」が増えました。

同じように、iphoneのSiriの中に入っている人工知能も、データ量が増えるとともに、頭がどんどん良くなっています。Siriがリリースされたころは関西弁で話しても聴きとってくれませんでした。しかしいまでは、「なんかめっちゃうまいもん教えてやー」と問いかければSiriはちゃんと返してくれます。これは、たくさんのユーザーが関西弁でSiriに話しかけたことでデータ量が増えたからです。

 

さて、人工知能とはデータ量の蓄積とともに進化するということが分かったところで、それが採用にどう生かされるかをシンプルに考えてみましょう。

いま、私たちの採用活動では、ナビにエントリーしてもらって、その人のデータを見ますが、そのデータだけではその人がうちの会社に合っているかどうかがわかりませんよね。だから面接をします。会って話をするわけです。しかし会ってみたら、「うわー、この子に時間とったのちょっともったいなかったわー、申し訳ないけど面接前にスクリーニングできなかったのかなー」なんていうことが頻繁に起こります。ここに人工知能が登場してきてしまう、でしょう。

PAK86_smonitatocode20140517今でも学歴フィルターという「データマッチング」を私たち人間はしているわけですが、どういう属性情報を持っている学生が、内定を取りやすいか、内定後承諾しやすいか、その後3年間離職しにくいか、その後10年後も元気にやっているか、というのを人工知能が採用担当であるあなたに「提案」してくれるとしたらこんなうれしいことはありませんね。

そのためには、データが必要です。あなたの会社の社員のデータと、世の中の就職希望者のデータの二つですね。本当を言えば、「ビジネス環境変化のデータ」も必要です。ビジネス環境が変化すれば、10年前に活躍していた社員と、これから10年後に活躍していく社員は、確実に変わっていくはずですから。ものすごく複雑な計算が必要そうですよね。もう人間にはお手上げです。

これを解決するのが、量子コンピューターです。量子コンピューターは、従来型コンピューターよりも1億倍頭がいいのです(Wired記事)。1億倍ってもうなんだかよくわからないですよね。東京ドームの1億倍広いとか言われたら、それって地球より大きいのどっちなの?って感じです。まあいいんです。そういう「頭の良さ・計算の速さ」を競うところは、もう人工知能に任せちゃえばいいのです。

グーグルの量子コンピューター、従来型PCよりも「1億倍高速」と発表
http://wired.jp/2015/12/11/google-quantum-computing/

 

採用マッチングの初期段階は、「データマッチング」です。無駄な面接を減らしたいのは採用担当も学生も、お互いに思っていることですから、無駄打ちをなくすために、データとデータを照らし合わせて、「きみは面接する価値あり!」というのを人工知能がマッチングしてくれたらそれは双方にとってみるとハッピーかもしれません。

単に学歴だけで、説明会すらいけないという不条理なことが起きているのですから、大学は中レベルでも、その学生がどんなことにがんばってきたか、という膨大なプロセスデータを人工知能が「くみ取って」くれて、「この子は大学はまあ普通なんだけど、頑張り屋だわー」と拾い上げてくれることで、大企業にとっては「出会えていなかった人と出会える」チャンスが広がるかもしれないのです。

プロセスデータとは、その学生の「ライフログ(人生の記録)」です。小学校の時の通信簿、先生からのコメント、作文、熱中していたこと、中高生での仲間、部活でのがんばり、試験結果、悪い点数を踏まえてそのあと勉強しなおした経過、バイトでの働きぶり・・・・

「えー、そんな情報公開したくないよ!」って感じですよね。はい、私もそう思います。

でも、多分、そうなります。僕たちのライフログ、プロセスデータはどんどんデジタル化され、パーソナルなデータベースに蓄積保存されます。それは就活のために保存しているデータではなく、「楽しく生きるため」に個人が望んで保管していくデータです。

47c78950781b8867333dfb0384421125_mたとえば、部活でテニスを頑張っている、テニスがうまくなりたい。どうやったらサーブが速くなるのか、リターンエースを決められるのか。そのためにラケットにセンサーを付けて、どんな振り方をした時によかったのか・悪かったのかというデータを自動記録するアプリが登場するでしょう。これがInternet of things(IoT)の時代の産物です。そのデータをアップデートすると、「あなたに合うラケットはこれ」「あなたが参考にするといいプロ選手はこの人」「あなたが競い合うべきライバルは同じ部活の中野君」というように、どんどん人工知能が提案をしてくれます。そうやって、気が付くとその子のテニスの頑張りプロセスデータは、保管されていきます。「この子は、一つの目標に向かって、あきらめずに頑張る向上心がある」というのが、会わなくてもわかるようになってしまうかもしれません。

このように、蓄積されたデータ同士が、あたらしい可能性を創造していく社会を「データ経済社会」と呼びます。IoTの普及とともに、データはこの先も天文学的な増え方で蓄積されていきます。肝心なのは、その情報を「どこに預けるか」ということになります。自分のダイジなライフログです。怪しい業者に情報すっぱ抜かれて、勝手にマッチングされたらたまったもんじゃありません。ですので、「安心してデータを預けられる、ちゃんとした企業」がデータ経済社会には生き残ります。

たとえばそれが未来の就職情報企業の姿です。「この会社には自分の小学校から大学までのライフログを、この黒歴史の時代だけ抜いて公開するわ」みたいな、個人が自分の情報を選んでデータマッチング企業に預けることで、個人は適切な情報提案、サービスを受けられる時代がやってきます。「データを預けることは不安」という価値観が、「データ預けるとメリットたくさんあるから、預けた方がいいよね」という価値観に変化していく未来が予想されています。

 

さて、長くなりすぎているので、今回はここまで。
「えー、そんな未来いつくるの?」と思ったあなた、実はもう既に、Googleが開発しちゃってるかもしれませんよ。なんせGoogleは世界で最も採用マッチングを真剣に考えて、それをテクノロジーで解決しようと思っている会社ですから。

さて、次回以降の予告。こんなことを書いていこうと思います。よかったら感想を編集部までお聞かせください。

2、人間よりも、ロボットから「あなたはこの会社で働くといいよ」と言われたほうが、納得感が生まれるかも
− 投資の世界では実現していますね。

3、お金を稼ぐ仕事は人工知能がやってくれるから、楽しい仕事だけ人間はやればよくなるかも
− そんな時代がきたら、僕たちはどう生きていけばいいでしょう?

この3点から見えてくるのは、人工知能が進化して採用活動の一部を任せられるようになったとき「人事がいらなくなる」のではなく、「ロボット的な働き方をしている人事がいらなくなる」という切ない事実です。

ロボットじゃなくって、人間だからこそできる採用の仕事を、いっしょにしましょう。

株式会社働きごこち研究所
代表取締役 ワークスタイルクリエイター  
藤野貴教氏

アクセンチュア、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性・新規事業開発・営業MGRを経験。2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。
2006年、27歳の時に東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町)で子育て中。家は海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)。朝の海が大好き。

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