曽和利光氏 連載【「人を表現する言葉」を考える】

「人を表現する言葉」を考える(その3)『自信』

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≪連載第3回≫元リクルート人事部GM、株式会社人材研究所 代表の曽和利光氏に【「人を表現する言葉」を考える】をテーマにお話いただく連載です。

「人を表現する言葉」を考える(その3) 『自信』

「自信」と言う言葉は、採用面接においては良く使われる言葉ではありますが、人によって様々な使われ方をする要注意ワードです。謙虚さを美徳とする文化を持つ日本の社会においては比較的「社会的望ましさ」の低い言葉のようであり、例えば「彼は自信家だ」と言う場合、なんとなく「鼻持ちならない不遜な人物」であるような悪い印象を持ちませんか。

 

picjumbo.com_IMG_7443そのためか、「自信」は本来の「自分を信じる(self-confidence)」というフラットな意味合いよりも、「自尊心(self-esteem、pride)」的な「自分を偉いと思っている」というような意味合いで使われるケースが多い。ですから、私はあまり「自信」という言葉をそのまま使わずに、特別な意味と捉えてもらえるよう、あえて「根拠のある自信」「根拠のない自信」というような修飾語をつけて使ったり、「自己効力感(self-efficacy=「ある結果を生み出すために必要な行動を、自分はうまく行うことができるという信念を持った状態」)」のような定義が明確に定まった心理学用語を使ったりするようにしています。

 

3d75692cef9e52b61bc88c8cea6860e1_s「根拠のある自信」とは、「私は東大出身だから」「体育会で主将をやっていて、大会で優勝したから」「会社で部長をしており、年収1000万円超だから」等々の、なんらかの現実世界における事象を根拠として生じる自信を指します。上述の言葉で言えば「自尊心」にやや近い内容の言葉遣いかもしれません。

「根拠のない自信」とは、特に何の根拠もなく、「努力は報われる」「なんとなくうまく行くような気がする」「人は信じるに足るものである」「未来は明るい」などの信念を持つような自信を指します。上述の「自己効力感」や、その他「楽観的(optimistic)」「基本的信頼(basic trust=「世界に対する基本的な信頼感。アイデンティティの概念を提唱したエリクソンの用語」)「ポジティブ思考(positive thinking)」等に近い言葉かもしれません。

 

多くの会社の求める人物像を聞いていると、上の2つの「自信」(根拠のあるなし)は、「ない」という言葉の否定的なニュアンスとは違って、「根拠の『ない』自信」タイプが重視されています。というのは、「ある自信」は、根拠があるがゆえに崩れることがあるからです。「東大だから」と言っている人は、ハーバード大学の人が来たらシュンとなってしまう。一方、「ない自信」は、根拠がもともとないが故に、あまり崩されることがなく、より「強い」自信であると思われているようです。

 

さて、皆さんの会社ではどちらを重視していますでしょうか。

株式会社人材研究所
代表取締役社長  
曽和利光氏

採用後ろ倒し対策のコンサルティング、面接官・リクルータートレーニング、イベント選考アウトソーシングなどの採用をすべて一気通貫で行う。元リクルート人事部ゼネラルマネージャー。リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで人事畑を進み、現在は株式会社人材研究所を設立。採用領域を中心に、人事評価制度の構築・改定等、企業の様々な人事課題解決に取り組む。就活「後ろ倒し」の衝撃(東洋経済新聞社)、知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48(東洋経済新聞社、共著)、「できる人事」と「ダメ人事」の習慣(明日香出版社)、DVD 120分でわかる!! 就職面接の新常識(ヒューマンアカデミー)、その他連載多数。

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